量産開始前に、潜在的な不適合要因を
どれだけ特定できるか、が腕の見せどころ。
品質保証部は、製造工程を構築する際に、高品質の製品を長期安定的に製造できる工程設計が成されているか否かを調べ上げ、必要に応じて改善を提案します。また、既に稼働中の製造工程を定期的にチェックし、品質を向上させる提案を行います。更には、製品の設計段階から形状や材料などの検討にも加わり、仕入先の部品メーカに赴いての品質チェックにも取り組んでいます。品質保証部では、実際に製品や工程の設計・生産を行うことはありませんが、それら一連の作業に対し、問題の有無を細かくチェックし、発見された問題が、例え小さなものであっても、大きな不具合の元凶となる恐れがあるので、徹底的に解決していきます。高品質なモノづくりを誰よりも追い求める。それが私たち品質保証部メンバー共通の想いなのです。
私の現在の主な担当は、初期流動管理です。例えば新製品の開発や製造工程の変更に際し、製造の準備から量産までの間に実施すべき作業を、各部署と連携して推進させていきます。続いて、これらのチェックや評価を行います。量産開始の前に、潜在的な不適合を特定し、解決に導くことは、まさに腕の見せどころ。不良品の発生や諸々の異常を未然に食い止めることは、安定的に高品質の製品を製造するに不可欠です。
品質保証部だけでは、
高品質の製品製造は叶わない。
各部署とのチームワークが必要。
品質保証部の仕事は、自分たちで完結することはほとんどなく、各部署とのチームワークが必要な事ばかり。例えば生産技術部が設計した工程の中で、作業者がハンドで行う工程には、ヒューマンエラーを防ぐために可能な限り設備を投入することを工程設計の担当に推奨します。当然、工程設計の担当にも考えがあって、例えば、設備投資費用を抑制するため、敢えてハンド作業を設定することもあり、これもまた合理的な考えなのです。時には、この様な相反する事項のバランスを確保するために、様々な提案および議論を行います。
また、生産技術開発部で考えられた新しい加工技術が量産工程に投入される際は、従前と変わらぬ高品質を維持できる仕組みの有無等を徹底的に議論し、問題点が発見されれば、共に対策を考えます。
何事もなく製品が
完成していく様子を見て、
やっと胸を撫で下ろすことができる。
どの部署の皆さんも、知見とノウハウを駆使して仕事に取り組まれていますが、最終的には一元的に品質を管理、保証する必要があるのです。これを怠ると、高品質の製品製造が叶いません。時には他部署との議論が沸騰し、調整が長引くこともあります。その様な経過を経つつ、納得できる工程や技術が完成し、量産に漕ぎ着けた時は、達成感で満たされます。そして、何事も無く製品が製造される様子を確認できた時、ここで初めて胸を撫で下ろすことが出来るのです。
自分の仕事の先にある存在に意識を向け、
品質の確保の重大性を肝に命じる。
新しい製造工程の立上げには、事前に、社内の重要な会議にて、その構想の全容を報告します。完璧な製品を製造できる工程であることの確信を得なければ、当然、立上げへの承認は取得できませんので、私は事前に関係部署と、その工程が様々な要求事項を満たしているか否かの議論を徹底的に行います。私が参画した、とある製品の立上げでは、私は事前の見立てで「おそらく大丈夫」と判断し、会議に臨みました。すると、会議の参加者から、とある品質に関わる事項に付いて、異議が呈されました。この異議は、まさに正当なもので、この時、私は自身の見立ての至らなさを悔いました。品質を追求していくことを使命とする私が、品質の落とし穴を見抜けなかったことは痛恨の極みです。この苦い思いを教訓に、以降の仕事では「絶対に大丈夫」を心掛ける事としました。
私たちがつくる製品は、カーエアコンの関連部品。良品が提供できなければ、エアコンが効かなくなり、クルマの快適性能を損ないます。そうなると、お客様であるオーナー、カーメーカ他の皆様に、多大なご迷惑をお掛けすることになります。今一度、自分の仕事の先にある「お客様の存在」に意識を向け、高品質を確保することの重要性を肝に命じたいと考えています。